認知症を早くみつける!東大生のブログ

認知症の早期診断・早期対応政策を、地方自治体職員の方や議員の方に提案しております。その他、市民団体・認知症関連団体・企業の方と協働して、認知症啓発活動にも取り組んでいます。政策企画やマニフェスト作成、議会質問、各種啓発活動のご相談はお気軽にinfo@policym.orgまで。NPO法人政策会議が活動母体です。

一人あたり2000人の患者数・・・深刻な認知症専門医の不足。 ~認知症サポート議員連盟事務局次長 大沼みずほ参議院議員ヒアリング~

先日、参議院議員会館にて、認知症サポート議員連盟事務局次長の自民党大沼みずほ参議院議員と面会してきました。
 
今回は、短い時間ではありましたが、国政レベルでの認知症政策の今後の展望についてディスカッションを行いました。

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ディスカッションにおいて、大沼みずほ議員が指摘していたのは、特に医療面における認知症の治療が可能な医師の絶対数の不足」でした。
 
 

■専門医師一人あたり2000人の患者。まだまだ足りない専門医

 
日本精神科病院協会によれば、平成23年時点で、認知症を専門とする医師は1645人、認知症を領域の一部としている専門医も含めると、23090人になります(下表参照)。
一見すると、非常に多くの医師がいるように思われますが、決してそんなことはありません。
 
これまでこのブログでもお伝えしてきたように、認知症有病者数は400万人を超えると推定されています。それを勘案すると、認知症専門医師一人あたり2000人強の認知症患者を診なければならないというのが現状が浮かび上がってきます(認知症を領域の一部としている専門医を含めても、一人あたり200人の患者数)。
 
認知症の診療では、症状や進行段階はもちろんのこと、家族の状況や日々の生活といったバックグラウンドが大きく異なる患者一人ひとりをよく理解し、丁寧に根気強く向き合っていくことが重要です。そうであれば、当然、担当する患者数は、なるべく少ない方がいいことになります。
 
そのため、この深刻な医師不足は、認知症政策を推進する上で「体制を整えても満足な診療ができない」という根本的な問題を提起しているのです。

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大沼みずほ議員が指摘されていた認知症に関する専門医不足の問題を、ご理解いただけたかと思います。
認知症に関する専門医の増加は急務といえるでしょう。
 
では、
「そもそも認知症専門医を取り囲む状況はどのようなものなのか?」
「具体的にどういった対策をしていくべきなのか?」
こちらは、記事を改めてお伝えしたいと思いますので、今後もブログをチェックしていただければと思います。
 

■最後に

今回の大沼みずほ議員との面会では、国政レベルでのディスカッションのほか、地方自治体や現場の方と直接やり取りする機会の多い私達から、地方行政の実情についてもお伝えしました。
私達はこれまで様々な方にヒアリングを行なってきましたが、認知症政策において「国・県・地方自治体間のコミュニケーション・連携」は、まだまだ不十分だという実感を持っています。
このような形で、私達自身が三者を繋げる立場を担っていければと考えています。
 
また、認知症サポート議員連盟の皆様とは、今後もこのような議論の機会を設けることで、よりよい認知症政策実現に向けて協力していきます。