5人に1人が認知症!? あなたは?ご家族は? ~認知症の社会問題性~
「母はもう、私が誰だか、分からない…。」
認知症の母を持つ、ある女性の言葉です。
認知症は、私たちにとって身近な病気になりつつあります。
あなたは、認知症について、どれだけ理解しているでしょうか?
厚生労働省研究班の発表によると、2012年現在、認知症有病者数は約462万人にのぼり、今後も増加の一途を辿ると推定されています。
この数字は、日本における65歳以上の人口約3079万人の約15%にあたります。
(出典:http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou_kouhou/kaiken_shiryou/2013/dl/130607-01.pdf)
言い換えれば「65歳以上の高齢者のおよそ5人に1人が認知症有病者である」ということになります。
また、認知症はその発症原因がまだ明確に分かっていません。しかも高齢者に限った病気ではなく、若年性アルツハイマーなど、比較的若い時期に発症するものも存在しています。
つまり、あなたやあなたの家族も、健康な生活を送っているからといって認知症を発症する可能性がないとは言えません。
最早、認知症は「私には関係ないこと」「他人事」ではないのです。
最近はNHKを中心に、認知症がメディアに取り上げられる機会も非常に増えてきました。
この機会に、あなたも認知症について当事者意識を持って考えてみてはいかがでしょうか?
■東大認知症対策チームの活動のきっかけ
私たちが認知症に注目するようになったのは、メンバーの祖母が「段階が進んだ重度の認知症である」と診断されたことがきっかけでした。
ちょうどそのとき、私たちが所属していた政策分析ゼミでは「身近な社会問題を分析して、問題解決のための施策を考える」という活動をしていました。
そこで「メンバーの祖母や家族と同じように、認知症と診断されて、苦労している人は多いのではないだろうか」という仮説のもと、認知症について調査・分析したところ、ここまで書いてきたような認知症の社会問題性に気づくに至ったのです。
「来たる超高齢社会の中で、認知症を取り巻く問題は今後ますます大きくなってくる…。」
調査の中で強い確信を得た私たちは、2013年12月より「ロビー活動※」を通じて、この認知症問題に、自ら主体的に取り組んできました。
認知症への効果的な対策として、認知症の方を「早い段階で診断し」「適切な処置を施し」「悪化無しに暮らせるようにする」ことが重要である、というのが私たちの考えです。
しかしながら、現在、認知症に対する具体的な政策や取り組み具合については、各自治体でまちまちであり、決して十分とは言えない状況です。
そこに問題意識を持った私たちは、
「ロビー活動によって、早期診断を中心とした包括的な認知症政策を提言し、全国レベルで実現すること」
これをミッションに掲げて活動しています。
現在は、全国レベルでの認知症早期診断政策展開の前段階として、地方自治体との提携・政策提言を進めています。
※「ロビー活動」とは、個人や団体が政策に影響を及ぼすことを目的として行う私的な政治活動のことを指します。
【参考・出典】
- 厚生労働省(2014.7.6)「認知症への取り組み」(http://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/dementia/)
- 厚生労働省(2014.7.6) 「認知症の症状-中核症状と行動・心理症状」(http://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/dementia/a02.html)
- 認知症サポーター養成講座標準教材(特定非営利活動法人地域ケア政策ネットワーク 全国キャラバンメイト連絡協議会作成)